【読書実践報告】2022-11-17
「愛着障害は何歳からでも必ず修復できる」
著者:米澤好史
【1.この本を読んだ目的・狙い】
・愛着障害に向き合うため
・自分の気持ちがなかなかコントロールできない状況を俯瞰するため
・幼い頃の自分はどうだっか、本書を読んで照らし合わせるため
・愛着障害である夫との向き合いや、子育てを少しでもポジティブな方向にするため
【2.読んでよかったこと、感じたこと】
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・愛着障害を持つ子どもがどういう行動をするのか、どういう特徴があるのかが明確になった
・愛着を形成するために、どのような機能が重要なのかが明確になった
・発達障害と愛着障害の違いが明確になった
・愛着障害に対する必要な支援が明確になった
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※以下詳細※
・愛着障害を持つ子どもがどういう行動をするのか、どういう特徴があるのかが明確になった
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(愛着障害の定義)
「特定の人と結ぶ情緒的な関係」ができていない状態
関係性の障害、人との間の愛着形成不全の状態
愛着障害の具体的な行動(嫌な感情等を紛らわせる、外の発散させる行動が現れる)
○外に現れる行動
①モノとの関係(触る必要のないものに触る、ものに囲まれる)
②口の問題(口にものを入れる、舌なめずり)
③床への接触(どこでも裸足になる)
④人への接触(脱抑制タイプ、抑制タイプ)真正面はNG,横から近寄る(共同注意)のが効果的
⑤姿勢、仕草
⑥危険な行動 真正面からの制止ではなく、「逸らす支援」が良い
○愛着障害の三大特徴
①愛情要求行動
注目されたいアピール
愛情試し行為 二度ある。二度目を超えたら修復はとんとん拍子で進む。
愛情要求エスカレート 「要求に応える」のがエスカレートする原因。「かわす」ことが大事。
②自己防衛の行動
③自己評価の低さ
(愛着障害の三つのタイプ)
①愛着障害第一タイプ(DSED 脱抑制対人交流障害)
誰彼なしに関わりを求め無警戒
②愛着障害第二タイプ(反応性愛着障害(脱抑制型と抑制型))
現在は抑制タイプのみこのタイプに該当する
③愛着障害第三タイプ(ASDと愛着障害併存タイプ)
愛着障害で一番多いタイプ
問題の度合いはASDの度合い×愛着障害の度合いの「掛け算」で示される。
愛着障害の問題へのアプローチが重要
普段の特徴 籠もる 帽子、フードを目的なしにかぶる等
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・愛着を形成するために、どのような機能が重要なのかが明確になった
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(3つの機能)
①安全基地の機能
恐怖、不安、怒り、悲しみのようなネガティブな感情、すなわち嫌な気持ちになった時、誰かが大丈夫だと守ってくれるという働きをする
誰かが守ってくれると気づき(認知)、守ってくれるところに逃げ込む(行動)基地
未知の不安、恐怖に見舞われたとき等、不安感情にを掻き立てられた時に大事なのが、「誰かが私を確実に守ってくれる」と思える安全基地の認知。自分を守ってくれると思える安全基地の認知。
台風や地震があったとき、高校生が母に「一緒に寝ていい?」と聞いたら、突き放さず一緒に寝てあげてください。
学習への向き合い方も、安全基地の認知と大きく関係する。
安全基地がある子どもは学習に前向きに取り組む
②安心基地の機能
ポジティブな感情を生じさせてくれる感情の基地
「会いたい」「いつも一緒にいたい」という気持ちになる
(安全と安心を切り分けて考えるのが愛着障害への問題解決に不可欠)
「ポジティブな感情」のつながりを強化することでより強く絆を形成する
③探索基地の機能
安全基地から離れて冒険する「探索行動」、精神的自立の過程をイメージ
基地から離れ、「戻る」という行動(動線)の中で形成される
ポジティブな感情の「共有」と、ネガティブな感情を「減らす」「逸らさせる」働きが大事
⇒ ネガティブな感情を減らす働きが機能しないと、外の「何か」にぶつける行動に発展してしまう
発達障害の子どもに見られる攻撃性 愛着障害という二次障害が併存することによる
(印象に残った文章・フレーズ等)
「母子分離不安を軽視しすぎるな」
学生の不登校や大人の引きこもりにもつながる
母子分離の支援 親・特定の保育士・子どもの三者で送り迎えの「共通の儀式」をしてから離すという丁寧な支援が必要
「参照視」
行きたいところがあった時、基地に「行っていい?」と確認するための行動
「自立の強要」
「そんなこと自分で決めなさい」と無理やり決めさせる行動はかえって自立を遅らせる
99%の自己確信と1%の参照視の安配が良い
「愛着障害支援では、子どもに感情を確認する、問う行為は禁物」
父の「なんでやったんだ!理由を述べよ!!」という言葉が嫌いだったことを思い出す。
自分で自分の気持ちがよくわからない
感情がきちんと発達していない人に、感情を問うほど危険で無責任な行為はありません。
「虐待の世代間連鎖」
親にされたネガティブなこと、子育てを通じて「親にされたこと」を思い出し、間接的に傷つく 2度傷つくことによる世代間伝達が発生する。
「親と対決する」ことの重要性(『毒になる親』にも同じことが書かれていました)
自己受容感の低い親は、子どもに統制的に関わりやすい
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・発達障害と愛着障害の違いが明確になった
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(発達障害との見分け方)
現場に赴いて、彼らの生活を見ることが最も重要。
① ADHD:「行動」の障害・問題
⇒「いつも」「どこでも」「何をしてても」その問題を起こすのか?
② ASD :「認知」の障害・問題
⇒「居場所感」という認知と連動して症状が現れる
あらかじめ予定を伝える、急に予定の変更をしないという関わりが大切 居場所感の支援
③ 愛着障害:「感情」の障害・問題
⇒ いつもではなく、感情のムラによって症状が現れる
⇒ 感情状態に直結して行動に現れる
⇒ 一対一は落ち着く、集団では症状が現れる
⇒ 片付けると気持ちいい、ルールを守ると心地よいという「ポジティブな感情」自体が育っていない
※ 発達障害は先天性、愛着障害は後天性
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・愛着障害に対する必要な支援が明確になった
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特に印象に残ったのが、要求を鵜呑みにするという「後手に回る対応」が、要求をエスカレートさせるということにすごく納得した(先手をとって主導権を握る、類似の行動やものに注意を向かせて、気を「逸らせる」のがポイント。)。
(意識すべき支援のポイント)
・受け止め方の支援
・ポジティブな感情をためることができる支援
関わりを子どもがどう受け止めたかしっかり確認をしなければならない
「受け止め方の支援」をしなければどんな良い関わりをしても効果が出ない
(愛着修復プログラム(ARPRAM)のポイント)
1 支援は「どこからでも」「行きつ戻りつ」
支援は「段階的に進む」のではなく、「フェーズごとに進む」。
なので「後戻り」しても諦めないこと。
「こころの過半数獲得現象」(=信頼の獲得)があったら、支援は劇的に進む
2 キーパーソンの決定
3 キーパーソンになるための周囲の連携体制
4 一対一で一緒の活動をする
5 感情のラベリング支援による感情学習
6 キーパーソンが主導権を握る「先手」の支援
これしようとキーパーソンが先手、主導権をとって一緒の活動に誘うことがポイント
7 主導権を握る「叱り方」
その行動を先に指定した方が先手、主導権を握る、肯定的表現、前向きな提案をする
8 主導権を取り返す方法
要求に応じた身体接触が不適切なのであり、こちらから主導権を持った身体接触は愛着形成に効果的
そのこの情報がキーパーソンに集約させることも主導権を持つことで重要
「自分のことを知らない人など信頼できない」、だから傾聴支援は愛着障害の支援に合わない
9 主導権を持続する役割付与による支援
自己有用感 誰かの役に立っているという認識
10 褒め方クイズ
半分くらい不正解でした。
感情と結びつけた褒め方が大事
具体的に望ましい行動を明示する
努力より能力を褒める
(自己有能感、自己効力感への気づきのきっかけが醸成されるので、愛着障害の子どもへの支援は、能力を褒めるのが良いとのこと)
自分のいい変化に気づいてもらえたことが一番嬉しい
いいタイミングで褒めることも重要
11 「橋渡し支援」による連携体制づくり
12 サブ・キーパーソンの活用
13 キーパーソンの引き継ぎ
・本書を読んだ際の疑問
愛着障害は、「愛着形成不全による障害」であり、すべての人に当てはまりうる、「後天的」な障害であるにも関わらず、
なぜ精神医学会は定義を「トラウマ障害」という狭義的な定義にしてしまうのか、
なぜ【障害を併せ持つという診断を嫌う傾向がある(引用)】のかが理解できなかった。
【3.この本を読んで自分は今から何をするのか】
・愛着障害の傾向を深く理解できたので、本書の対応(特にNG対応を意識しながら)を実践する
・子どもたちには、3つの基地機能を提供できるように行動する
・要求に応えるという「後手対応」ではなく、うまく先手の対応をして主導権を握れるようにする
(統制的な対応をするのではなく、うまく類似的な行動に逸らさせる、提案する等の工夫をする)
・夫へは、NG対応を意識する、真正面に生真面目に対応すると疲れるので、「かわす」「逸らす」術は使えそうだ
・夫にも本書を勧めてみる(夫に私の行動やイライラのポイントがよくわからないと言われていたが、私の行動や考え方が本書のASD×愛着障害の特徴にとても当てはまっていたので、参考になるかもしれない)
【4.3か月後には何をするか、どうなっていたいか】
・愛着障害や心理的支援の誤解がかなりあったことに気づけたので、引き続き愛着障害についての理解をする
・愛着障害に関する赤羽さんおすすめの23冊を読破する
・自分が窮屈な思いをせず、のびのびと生きられるようにする。
以上です。
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