【読書感想】回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~

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【読書実践報告】2023-2-12

「回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~」

回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち/岡田尊司【1000円以上送料無料】
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著者:岡田 尊司

目次

1.この本を読んだ目的・狙い】

・回避性愛着障害の特徴を知り、その特徴を持った人の背景を理解するため

・人間関係が希薄化している現代において、回避性愛着障害の特徴を知ることが大切であると感じたため

2.読んでよかったこと、感じたこと】

アウトライン

・回避性愛着障害を持つ人の特徴や行動、思考法について知ることができた

・回避性愛着障害が生まれてしまう背景や社会構造を知ることができた

・回避性愛着障害を持つ人に対して、どのように接すればいいか知ることができた

・回避の克服をするために必要なアプローチを知ることができた

・「安全基地」を構築する大切さは、回避性愛着障害の人にとって特に大切であることを痛感した

回避性愛着障害を持つ人の特徴や行動、思考法について知ることができた

回避型愛着スタイルは、その人の人生を困難にするだけでなく、この社会自体の維持を困難にする問題でもある。なぜそれが今進行しているのか、その理由を探ることも重要だが、回避型愛着スタイルの人にとってもっと重要なことは、自分の人生をいかに生きやすく、実りあるものにするかということだろう。


岡田 尊司. 回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.35-37). Kindle 版.

回避性愛着障害の特徴は以下の通り。

  • 親密な信頼関係や、それに伴う持続的な責任を避ける
  • 情緒的な束縛や責任からも自由でいようとする
  • 回避性愛着障害の2つのタイプ

     ⇒ 回避性パーソナリティ障害:傷つくことや拒否されることに特に敏感で、人と親密になったりすることに極度の不安を覚える

     ⇒ 回避性愛着スタイル:周りから見たら特に不安の強さや消極的な態度があまり見られなく、社交的な特徴や自信があるように見えるが、親密なつながりや持続的な責任(例えば、結婚や子育て等)に直面する際に、それを重荷に感じ、避けようとする傾向がある。
  • 遺伝的要因より環境要因(特に1歳半までの養育環境)によって生じてしまう特性(愛着障害の一つ)である
  • 昨今増えている回避型には、子どものころに親から強い支配を受けたタイプがある
  • 人と寛げず、自己開示が苦手
  • 無気力、無関心、投げやりさがある
  • 1人で趣味の時間等に没頭する時間が「癒しの時間」

参考:イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィの愛着理論が有力であり、「愛着障害」の起源を考慮する上で重要な要素。

愛着障害について知りたい方は、こちらの投稿が最も早く理解できると思います。

回避性愛着障害が生まれてしまう背景や社会構造を知ることができた

養育要因〜親の行動により子どもが「回避型」になる〜

ネグレクトと回避

親からネグレクトをされると、生物学的な適応のプロセスにより、

「報酬の得られない行動」は次第に削除されていく。

つまり、「泣いたり訴えたりしても無駄」という考えが身に付き、

人間関係そのものに対して回避型の思考が形成されて行く。

共感的応答の欠如

子育てで一番大事なこと:

「子供が親に何かを求めてきたとき、

親がその子の気持ちをすぐに汲み取って答えて上げる」

子どもが「求めている」というところもポイント。

親が子どもに対して、親の勝手な解釈で押し付けをすることも、

「共感的応答の欠如」につながってしまう。

子どもにとって一番身近なコミュニティである家庭において

「共感的応答」が機能しているかどうかで

その子どもの将来に大きく影響する。

親による子どもの過剰な支配

従来の愛着理論に基づくと、

親の「過剰な支配」は、子どもを不安型の愛着障害を醸成することになるが、

近年はこれにより回避型の愛着障害を形成するケースが急増している。

この体験の例えは、ある種の「強制収容所体験」と合致している。

強制収容所で過ごした人が、

解放された後も虚無感、無気力、無感情を特徴とする状態を呈するのと同じことである。

その実態は、子どもの要求や感情等を無視する「ネグレクト」が起きている。

トラウマと回避性

子どもが上記のような「持続的なストレス状況」を経験すると、

回避反応が身につくのは当然の反応だろう。

また、いじめや仲間外れという体験も「社会的に抹殺される」というトラウマが襲い、

それを回避する行動をする結果になる状況になる。

近代化、過密化、情報化によってもたらした「回避型」の人々

 ⇒ 近代化によって「子育て以外」にかけられる時間が増えた(家事の負担減、女性の社会進出、情報化社会等)

 ⇒ 情報の過密化は「マインドコントロール」を受ける要素の一つ。それによりネット依存が深刻化、子どもへの共感的な反応が欠如。

 ⇒ インターネット依存は、麻薬中毒、覚醒剤中毒と同じような脳の働きをすることが判明(主に神経線維の走行の乱れの増加、密度の低下等)。

 ⇒ 新生児室、ベビーベッド、保育所のシステムは本来の哺乳類の愛着形成システムと相容れないことの理解が必要

回避性愛着障害を持つ人に対して、どのように接すればいいか知ることができた

「危険を回避する戦略」を続けた結果の特性であることを理解する

 ⇒ 回避性愛着障害を持った人は、過去の辛い経験により「危険を回避する戦略」を行なった結果の特性である。

 ⇒ 身近な人やパートナーである場合は、過去に満たされなかった「共感性」や「安心感」を満たしてあげることが重要

 ⇒ 「回避行動」を発生するトリガーを起こすような行動をしない

 ⇒ その人に対して受け入れる、話を全て聞く姿勢を持ち、自己開示をする機会を提供する

回避性の特徴を「補う」人間関係を築くアプローチをする

 ⇒ その人の「回避的な行動」を責めるだけでは何も解決しない

 ⇒ 特性を理解した上で、自分がその人をどう補っていけるか考える

 ⇒「 回避型の愛着スタイル」「不安型の愛着スタイル」の人との関係性

安定した関係が長く続くカップルの場合、どちらか一方が相手のサポート役・引き立て役に回ることで、バランスをとっていることが多い。いずれにしろ、サポート役に回る方が、安定した愛着スタイルをもち、余分に自己犠牲を強いられることが多い。

しかし、なかには、不安型の愛着スタイルがうまく活かされる場合もある。不安型の妻は、家族の世話に熱中する傾向がある。これは強迫的世話と呼ばれるが、回避的で自己愛の強い夫との生活において、世話をする役目を一身に引き受けることで、バランスが保たれる。

逆に、不安型の夫が、情緒不安定な妻を支えるといった組み合わせも、よく見かけるものだ。この場合も、夫の強迫的な義務感がうまいぐあいに作用する。

いずれの場合も、自分が主人公になるよりもサポート役に回ることに生きがいを感じるタイプの人と、世話や関心を人一倍必要としているタイプの人の組み合わせがいいようだ。

このパターンは、回避型の人にとって、もう一つの最良な結婚の形と言えるだろう。マイナス面ともなる愛着パターンも、パートナーとの組み合わせしだいで、互いのニーズを満たし合い、夫婦生活に安定をもたらすことができるのである。

岡田 尊司. 回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1516-1522). Kindle 版.

回避の克服をするために必要なアプローチを知ることができた

「二段構え」の課題

 ⇒ その人に備わった「回避型の愛着スタイル」という課題

 ⇒ 現実や問題に向き合うことを「避けようとする回避と」いう課題

課題解決のための条件、アプローチ

 ⇒ 回避を合理化する思考(「自分には成功体験がない」という誤解の修正

 ⇒ 「傷ついた体験」を語り、向き合うことでこう着状態を動かす

例:精神科医 カール・ユングの体験
・学校でのいじめや辛い体験によりてんかん発作の発症
・病気により「学校に行かなくていい」回避の戦略を身につける
・大事に思う父が友人にポロッと案じる言葉を話したことを聞いたユングに「雷が落ちる」
・以降、てんかん発作を起こしながらも勉強し続け、数週間で克服、学校へ登校
・ユングの治療法として「過去の体験と向き合う」ことを主軸に置く原点となった

「わたしは雷にでも打たれたかのようだった。これこそ現実との衝突であった。

『ああ、そうか。頑張らなくちゃならないんだ』という考えが頭の中をかけぬけた。

それ以来、わたしは真面目な子供になった。

静かにその場を離れ、父の書斎に入り、自分のラテン語の教科書を取り出し、身を入れて勉強しはじめた。

一〇分後、失神発作があった。椅子からもう少しで落ちるところだった。

だが、何分も経たないうちに再び気分がよくなって、勉強を続けた。

『こん畜生!失神なんかするものか』と自分に言い聞かせて、そのまま先へと進んだ。

およそ一五分もすると、二度目の発作が来たが、最初の発作とおなじく過ぎていった。

『今こそ、まっしぐらに勉強するぞ!』と、わたしは頑張った。

そしてさらに半時間後、三度目の発作が襲ってきた。

なお、わたしは屈服せず、もう半時間勉強した。

ついに発作が克服されたということを実感した。

急にこれまでの何か月にもまして気分が良いのを感じた。

事実、発作はもう二度と繰り返されなかった。

その日以来、わたしは毎日文法書と練習帳で勉強した。

数週間後、再び登校するようになった。学校でも発作に襲われることはなかった。

魔法はすっかり解けた」(『ユング自伝』)

岡田 尊司. 回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2136-2139). Kindle 版.

 ⇒ あるがままに受け入れる
(例:森田療法)

 ⇒ 症状自体を治そうとするのではなく、やらねばならないこと、やっていることに集中する
(例:ドトールコーヒー鳥羽博道社長の克服)

「安全基地」を構築する大切さは、回避性愛着障害の人にとって特に大切であることを痛感した

 ⇒ 回避性愛着障害の人の特徴として、趣味や関心に対する集中、没頭がある。

 ⇒ 「同行の集まり」は、まさにその人にとっての存在意義や安全基地の機能を有することになり、心理的安定を獲得する重要な要素になる

 ⇒ うつ病に関するある研究(Zuroff&Blatt,2006)では、うつ病の重篤度や治療法に関わらず、「治療者と患者との関係の質」により回復に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。

患者の考えを汲み取り、肯定し、受け入れる、話を聞くということが、治療者と患者との間に信頼関係が生まれ、治療をスムーズに進めることができたため。

 ⇒ 上記の関係性は、本来家庭内の親子で築くべき「安全基地」の機能であるが、家庭内で築けなくてもパートナーシップや友人関係で築くこともできる。

3.この本を読んで自分は今から何をするのか】

・自分が大切な人や誰かにとっての安全基地の機能になることを決意する。

・回避性の傾向は自分にも当てはまることが多く、回避を克服するアプローチを本書を参考に進める。

43か月後には何をするか、どうなっていたいか】

・当たり前のようにいろんな人の考え方を許容し、上記のような問題解決法を自然とできるようになる。

安全基地を当たり前に提供し、アクティブリスニングを呼吸するかの如く実践している。

以上です。

人間関係に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、

⏬こちらのページもぜひご参考にしてください⏬

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