【読書感想】カサンドラ症候群

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【読書実践報告】2022-12-7

「カサンドラ症候群」

著者:岡田 尊司

目次

【1.この本を読んだ目的・狙い】

・カサンドラ症候群が発生している背景を、夫婦それぞれの視点から具体的に知るため

・私も以前カサンドラ症候群に似た症状があったため(産後うつに近いがかなりヒステリーになっていた)、夫の特性を理解した上で、妻としてできることは何だったのか振り返るため

【2.読んでよかったこと、感じたこと】

・カサンドラ症候群の要件(シャピラの定義)は以下の通り:

① 理知的だが情緒性に欠けたタイプの人物とのうまくいっていない関係(「共感性の低いパートナー」との関係性)

② ヒステリーを含む心身の不調や苦しみ

③ その事実を他の人にわかってもらおうとしても、信じてもらえないこと(パートナーは外面がいいため、外部の人はそのいい面しか知らない)

・カサンドラ症候群の問題は、妻の「症状」だけを見て対処療法するだけでは根本的な解決にはならず、その妻が抱えている問題や背景を的確に把握する必要があることがわかった。

⇒ つまり、妻または夫どちらかのみのアプローチでは改善は厳しく、「夫婦の協力」があってこそ改善の糸口が見つけられるのである。

・夫婦関係の良し悪しを位置付ける重要な要素は以下の通りであることがわかった。

① 共感的応答

⇒ 愛着の形成・維持(オキシトシン)を形成するために不可欠な行動。これがないと夫婦の崩壊の始まり。

⇒ 「セックスの不一致は、欲望の不一致に思われがちだが、むしろ共感的応答の問題なのである」という言葉も印象的だった。まさにスキンシップもコミュニケーションですね。

② 安全基地

⇒ 相手にとっての安全基地になるよう努めることで、愛着の仕組みがうまく働くようになり、心身の健康が維持される。逆に、安全基地にならないと、それぞれの心身の健康が悪化してしまう。

⇒ カサンドラ症候群になる夫婦は、不安型の妻と回避型の夫のパターンが多いので、それぞれが思う「安全基地」の定義の「ズレ」があるという理解も重要。

⇒ そのためには、特に①と⑤が大切になってくる。

③ 自分自身の反省(問題の「自覚」)

⇒ 夫、妻それぞれが「自身だけが正しい」と思っている「囚われ」からの解放することが重要。

⇒ 夫だけが悪いと思われがちだが、妻も夫に求めすぎることもあり、その背景は妻の毒親にも原因があるという指摘もあった。

④ 相手の立場を考えること

⇒ 「新婚時代を思い出してほしい」という岡田先生の訴えが印象的で、④ができなくなってしまう夫婦がたくさんいるんだなと感じた。

⑤ 相手の特性を理解すること

⇒ 夏目漱石の妻鏡子が、漱石の症状が「病気」だと理解してから、彼を支える覚悟を持つことができ、それをきっかけに作家として大成したらしい。

⇒ カサンドラ症候群になってしまう妻は、夫が「共感性の乏しい」特徴を持つASD、アスペルガー、回避型愛着障害であることが多いので、その「特性」を認知し、「傾向と対策」を知っておくだけで、妻の心構えがだいぶ違ってくるとのこと。

夫婦それぞれがベストを尽くしても改善できなかった、または、一方が協力する姿勢が全く見られない場合は、夫婦関係にピリオドを打つ方法もある。自分が無理をしないことが大事。

⇒ 子どもにパートナーの愚痴を言わない、大人としての自立性・責任を持つ、「子どもの望むこと」になるべく応える等、頑張れば子どもへの影響も最小限になる。

【3.この本を読んで自分は今から何をするのか】

・「私は/あなたはこういう性格だから」という大雑把な括りをしても何も解決しないこと、具体的に困難を掘り下げることで解決する糸口が見えることを頭にしっかり理解する

・今後夫婦間の困難が発生したり、ヒステリーになりそうになったら、上記の要素でどこに問題があるかメモ書き等をして掘り下げる癖をつける

・夫婦間は「共感的応答」「相互的なコミュニケーション」が一番大事なベースであることを理解し、相手の求めていること、自分が求めていることを、感情・愛着障害・長女病にとらわれずに理解し、歩み寄る努力をし続ける

【4.3か月後には何をするか、どうなっていたいか】

・3が完全に実施できる人間になる。

【5.印象的だった箇所(引用)】

カサンドラ症候群という概念の限界は、その要因を夫の共感性の乏しさという特性にのみ求めたことである。だが、現実の問題はそれほど単純ではない。職場のストレスや経済優先の価値観、親や実家との関係もかかわっている。そして、何よりも、お互いが余裕をなくし、「お前が悪い」「あなたのせいだ」と言い合う状況が、カサンドラを生んでいるとも言える。
その意味でカサンドラ症候群という概念自体も、夫だけに問題の原因を背負わせるという意味で、真の問題解決を妨げてしまう面をもっている。夫がアスペルガーなので、妻がカサンドラになったという認識だけでは、本当の理解にも、愛情や共感を取り戻すことにもあまり役立たない。
そして、間違いなく言えることは、一方だけではなく、双方が協力して問題改善に取り組もうとするほど、関係修復につながりやすいということだ。必要なのは、相手の問題を糾弾することではなく、理解し、許し合うことに思える。
ただ、残念ながら、二人の人間がかかわる問題である以上、一人の努力ではいかんともしがたい場合もある。何人も十字架を背負わされたような後半生を強いられる必要はない。あなたが十分に努力したのであれば、ピリオドを打つことも重要な選択肢だ。その場合も、あなたが相手の問題だけでなく、自分の問題にもしっかり向き合っていれば、必ずこの苦しい体験が生かされるときが来るだろう。

岡田 尊司. カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら (Japanese Edition) (pp.179-180). Kindle 版.

以上です。

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